この作品が誕生した当時、貴族社会の華やかさをベースにしながら、階級による人生観の違いをミュージカルという娯楽作品中に盛り込んだことがエポックだったようです。
実は映画版を観ていて、イライザの父親ドゥーリトルの見せ場がいくつも用意されているのが、ちょっと余計なんじゃないかと思えていたのです。ストーリーだけを追って観ていくとね。でも作品の奥行きを出すために必要なものだということが、舞台版をみて分かりました。

イライザの父親の役割とは反対に、今回の舞台で改めて?と思った点もありました。
それは、イライザに一目惚れした青年フレディのこと。君の住むこの街に通っているだけで幸せさ!とベタベタにのぼせて、1日に3通は長文の恋文を出し、日の大半は家の前で待っているフレディ。…これってただのストーカーじゃないの?(笑)
原作「ピグマリオン」では、ヒギンズから離れてイライザがフレディと結婚してエンドだから存在価値がありましたが、ミュージカル版の終わり方では、彼ってどうなっちゃったの?と思わずにはいられません。かわいそうに、浮かれたまま一生どっかで歌っているんですね(笑)

中学時代、大学時代、好きで何度も観た映画版でしたが、いろんな人間の解釈や演出のアップデートが施された舞台版を観て、あらためてこの作品の完成度の高さを思い知りました。 とにかく真央さまのイライザが良かったし。ゴージャスな雰囲気を十分堪能できたのが嬉しかったな。
売店で売っていた真央さまグッズのハンドタオルはしょぼいものでしたが、そういう世界があるってことが分かったのもお楽しみでした!(あのタオルじゃ手が拭けないです)