なんでも、韓国の日本文化解禁による日韓合作映画第一弾が「リング」に決まったそうで。呪いを国外に持ち出していいもんかねぇ(笑)
ともあれ、今や日本を代表するホラー・プロットとなった「リング」。
「リング」「らせん」の2本立てでは、圧倒的な「リング」の勝利によって中田秀夫監督の株が急上昇し、「らせん」の飯田譲司監督の評価が地に墜ちた結果となりました。
今回の「リング2」「死国」でも「リング2」の中田秀夫監督の勝利でしたね。 中田監督のこなれた恐怖演出は、右に出る者がいない独走状態になってるよ。
さて、以下はネタバレありのテキストなので、これから観ようと思っている人は、別ページに行ってください。たとえばこことか(^^)

ではまず、「死国」からいきましょうか。
板東真砂子の原作が好きだったこともあって、「あれ?こんな話だったっけ?」という映画になってました。いわゆる角川映画というジャンルの映画。
「リング」も原作とかなり違うのですが、恐怖映画としての煮詰め方がうまかった。
でも「死国」の場合は、原作に漂う「死」の香りがまるでない「青春映画」になってしまっていたんです。
四国は死国、黄泉の国に一番近い場所。だから遍路で結界を張る。遍路のルートを逆さに回れば、死者を蘇らせる逆打ちとなる。原作では、この土地の特殊性、村社会の怖さがじわじわと「死国」というプロットに集約されていったのに、映画版はスケールの小さい個人的な現象としてしか描かれていないのが残念でした。
岩井俊二作品の撮影でお馴染みの篠田昇のハンドカメラは、岩井作品のような透明感や瑞々しさがなく、役者の棒読みセリフと相まって、学生映画みたいだったな。
まぁ、抱きついてボキボキッはないだろう?の一言に尽きますね(笑)

気をとりなおして「リング2」です。
映画版「リング」から世界とストーリーが続いている正式版の続編で、原作の流れからは全く別物になっています。これで映画版「らせん」の存在は完全に抹消されてしまいました(笑)
死までのカウントダウンという1作目のテンションはなかったものの、1作目の世界が継続していること自体がコワイです。貞子の呪いの強さを、井戸の底で30年間生き続けていたというゾッとする設定に変えてあるのが、いや〜な感じでたまりません。あの井戸から貞子がはい上がってくるトラウマになりそうな映像が、余計にコワイものになってしまいました。

ビデオの余波によって、死からは免れたものの恐怖が終わらない「無限地獄」に陥り、精神に異常をきたしてしまう人間がポイントでしたね。ビデオテープがなくても、人間そのものを記憶デバイスにして、あの映像を増殖させていく機能があるんですよ。呪いってすごい!
彼らは、その特殊な能力を持ってしまったために、水の性質を変化させることができるようになっちゃうんです。水が意志を持っているかのごとく、自らの力で動いていくんです。
これはもしかしたら、環境保全に役立てることができるかもしれませんね!汚染された水を、呪いを受けた人間が念を送ることによって、性質を変化させて真水に戻すことができるかもしれないじゃないですか!まるで、SONYが企業活動PRとしてCMしている、ビデオカセット1本でドラム缶65本分の排水を真水に戻すことができるリサイクル技術そのものって感じ(笑)
社会に役立つ、貞子の呪い。

さておき、中田監督の演出は、何気ないところがコワかった。深田恭子演じる女子高校生からビデオテープを受け取ったTVスタッフが、観る勇気がないまま電話で「観た」とウソをつくシーンがコワかったな。いやな感じだった。
中谷美紀が部屋に戻ると、ベランダの手すりに誰かがぶら下がっている幻覚を観るのもコワかった。意味ないんだけど、怖かった。でも、彼女って特殊能力をもつ設定になっているから、クライマックスの井戸の壁につかまる自分の手を予知して見てしまったのかもしれないな。

そして、息子の恐怖をすべて受け取って闇に帰っていく真田広之がカッコよかったです。そうすることで、一瞬「らせん」の世界につながるのかな、とも思ったけどつながりませんね(笑)

観た時よりも、後で思い返すといや〜な感じになる中田監督の映画。 大ヒットしているのはいいことですが、小中学生の男の子が観てしまったら、確実に長い髪の女にトラウマを感じますね。お気の毒です。

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