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街中でふと空を見上げると、なぜか目に入る「ワールド」の看板。
ワールド=世界、とだけ記されたこの看板は、都市に仕掛けられたプロパガンダ・アートのようです。なにかが無意識下にインプットされ、いつかある行動を発動させるために。僕は、この看板の存在を密かに楽しんでいたのでした。

もちろんこれはアートなどではなく、ファイナンス会社の広告です。
でも、日本語を学んだ外国人が見たら、中国の街中でよく見かける人民意識に訴えかけるプロパダンダ・アートと同種のものだと思うでしょうね。

タケオ・キクチやINDIVIなどを有するアパレル会社(株)ワールドは、(株)ワールドファイナンスと営業表示訴訟を争って、『ファイナンス社は「ワールド」、「世界のワールド」の営業表示を使用してはならない』という判決が下されました。
なのに、看板はあいかわらず撤去されることがなく、なにかの暗示を与え続けていました。やはりこの看板の目的はアートだったのか…、と納得しかけていた矢先、「ファイナンス」という言葉が小さな文字で書き加えられているではないですか!
アートはただの醜い広告と化して、無意識下に眠った謎の命令は、発動されぬまま凍結されてしまいました。
そんな小細工をするくらいなら、撤去なさい!ふんっ、つまらない!

写真の場所は、釈迦三尊像の如き配置で「ワールド」洗脳化計画の中心点ではないか?と密かに気に入っていたポイントです。さて、どこでしょう?