
レッド・ツェッペリンの音に惹かれて夢中になったのは、「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」がリリースされた頃から。
まもなく、ドラムのジョン・ボーナムの死によって、レッド・ツェッペリンの活動は終止符を打った。再結成説がいくつも流れたが、過去の未発表曲をまとめた「CODA(最終楽章)」をもって、ツェッペリンは深い眠りについた。
もう、15年以上前の話。
時が経つにつれ、ツェッペリンに再結成などあり得ないことが分かってきた。
ペイジ、プラント、ボーナム、ジョーンズ。
この4人が1つのバンドとして存在していたこと自体が、奇跡だったのだ。
誰か一人欠けたら、ツェッペリンもどきにはなっても、ツェッペリンではない。
レッド・ツェッペリンは、当時ハードロックというカテゴリーに入っていた。
だけどツェッペリンの音は、ツェッペリン以外には存在しない、独自のジャンルだった。
ミニマム・ミュージックのように、繰り返されるギターのリフ。
鉄骨を叩くような硬質なドラム。
トリップしたかのような空間を生み出すキーボード&ベース。
ギターのリフとは全く独立した旋律を奏でるボーカル。
そして、これらが一体になった時の、空気の密度が変わってしまったかのようなグルーヴ感。構築的な音空間。愛だの恋だのに終始しない文学的な歌詞世界。
リズム&ブルースを主軸にして、ケルト・ミュージック、レゲエ、ラップ、カントリー、現代音楽、クラシックと、ロックというカテゴリーの境界線を押し広げていったバンド。
しかも実験的な試みで常にファンを裏切りつつも、セールス的な成功をおさめてきたバンド。いまだにCDは売れ続け、先頃トータル売り上げが、史上第2位という記録を作り上げてしまったバンド。
偉大すぎる。神々しすぎる。
あまりに敬愛しすぎて、高校時代は音楽評論家の渋谷陽一氏に口調が似てしまったくらいだ(笑)
ラスト・アルバムのリリースから時を経て、レコードからCDの時代へと移り変わり、今月新譜がリリースされた。BBCのラジオ・セッションのテイクをまとめた「BBC SSESION」。
ツェッペリンがもっともツェッペリンらしかった時代の、エネルギーがまだまだ膨張し続けていた時代のライブだ。
僕はかつてNHK FMで放送された「BBC LIVE」を聞いていたが、今回はジミー・ペイジ自らデジタル・マスタリングした正式版としての登場。
オフィシャルなライブ版としてすでにリリースされていた「永遠の詩」は、ライブ映画のサウンド版だったから、映画を観ていないと正直間延びしてしまうところがあった。
今回リリースされた「BBC SESSION」は、音のクオリティは「永遠の詩」に及ばないとしても、演奏のクオリティは遙かに凌ぐものだ。
オーバーダビングしていない、一発録りのドライヴ感は、極上のツェッペリンが味わえる。演奏の荒れは確かにあるのだが、それ以上に伝わってくる勢いと緊張感に圧倒されてしまう。
かつてツェッペリン・ファンだったみなさん。
この「BBC SESSION」は、買いですよ!
2年前のプラント&ペイジの来日公演では、ツェッペリンでないツェッペリン・ナンバーに涙してしまったけど、本物のツェッペリンに出会えることができたこのCDは、まさにお宝です。
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