ケアフル 1992年東京国際映画祭・ヤングシネマ部門で上映された「ケアフル」。この映画、すっごく気に入っていたのに、その後日本公開もビデオ化もされていない幻のカルト・ムービーになってしまった。


どんな内容の映画なのか、簡単に紹介しよう。

お話の舞台は、深い雪に囲まれたアルプス山麓谷間にある村。
この村には、厳しい掟があった。それは、静かに注意深く生きろ!というもの。
なんでかって?大きな音をたてると、たちまち四方八方から雪崩が押し寄せるから! だから、くしゃみをするにも、隠れてこそっとやらなければならない。

また、この村には独特な風習があった。
男は執事養成学校に通い、男爵のお屋敷にお仕えすることがエりートとされていた。きちんとした慎ましやかな生き方こそ美徳であると。
うってかわって、女はみな下着姿となり、頭に明かりを巻き付けて、炭坑で肉体労働に従事している。ちょっと八つ墓村ちっく。

この設定だけでもきてるでしょ?

さらに、映画のストーリーがとってもカルト!

執事養成学校で優等生のヨハンには、幼なじみの恋人がいたのだが、心の奥底では、母親との近親相姦を望んでいる。その妄想から逃れることができなくなり、ついに精神錯乱で自殺しちゃうんだ。
ヨハンの兄グリゴルスは、屋根裏部屋に幽閉されていた。
ヨハンの死後、グリゴルスは、ヨハンの幼なじみに恋してしまうのだが、その幼なじみも父親との近親相姦を望んでいた。
グリゴルスは、彼女とともに山を越える決心をした…。

とまぁ、これでもか!というくらいヘンな方向に進んでいくストーリー!

さらに画面づくりがまた独特でヘンなんです。
映画誕生初期のころのような粒子の粗いモノクロ画面に、淡い着色が施されている。
多分、一度撮影されたフィルムを薄い布に投影し、それを再度撮影してフィルタをかけていったのではないかな?
とにかく、凝りまくった画面をしているんだ。

バトラー


男はみな執事になるってのが、まずステキ過ぎます。
この映画を観て以来、ほかの映画に登場する執事さんは、みんなあの村出身かな?って思ってしまう。バットマンのアルフレッドなんか、きっとあの村出身なんだろうな。
でもさー、執事がメインになる映画って、なんかヘンだよね。家政婦が主人公になってもヘンだけど…(ヘンなのは市川悦子だからか?)。
お仕えする美学とご主人にある秘密ってのが、どうあっても爽やかな空気から遠ざかってしまうんだろうね。
そうだ。執事ものでも「日の名残り」はよかったな。骨の髄まで執事な男に、「ああ〜ん、もう、告白しちゃえ〜!!」って叫びたくなったけど(^^;


ともかく、もう一度観てみたい映画のベスト1の「ケアフル」。
みなさん気をつけて生きていきましょう。



DATA
「ケアフル」CAREFUL
 監督:ガイ・マディン 1992年カナダ映画 100分
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