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スモーク・シグナルズ
SMOKE SIGNALS 1998 USA 89min. Vista
1998-11-3 東京国際映画祭・コンペティション(オーチャード・ホール)・最優秀芸術貢献賞受賞
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この映画は、サンダンス映画祭で観客賞を受賞した作品です。
監督と登場人物がネイティヴ・アメリカンであることから、その文化的背景を作品に求めてしまいそうになりますが、軸となるのは父と息子の普遍的な関係にあります。息子にとって父とは?父にとって家族とは?

僕、このテーマには弱いんです。映画として客観的に観られなくなってしまうんです。自分自身と父との関係で、もやもやとした解決できない想いを抱いているからです。
サイコ・スリラーやSFのように、自分が安全なところにいてストーリーを楽しむ訳にいかず、矛先を自分に向けられたままスクリーンを見つめている状態でした。
もうこの世にいない父は、いい父でした。問題があった訳ではありません。ただ、理解しようとしても人間の素質が違う者同士、分かり合うことは難しかったのだと思います。親の義務という言葉に甘えていた自分と、家族の中で自分だけが浮いた存在だった時間を、どう自分の中で折り合いをつけていいか分からないんです。

普遍性のあるテーマで、かつロードムービー。ネイティヴ・アメリカンの世界でなく、ヴィム・ヴェンダースあたりがドイツで作っていたとしても通じる話だったと思います。
ただ、テクニックとしてではなく、自分に詰まっているものを作品に反映させていこうとする新人監督だから、「スモーク・シグナルズ」は瑞々しい光を持った作品になったのだと思います。
面白いと思わない人もたくさんいると思います。でも自分自身をスキャンしていくような経験を味わった映画として、僕はこの作品を記憶に留めていくことでしょう。


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