Diary
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本願寺の喧噪 98-05-07

僕が築地本願寺をはじめて見たのは、小学校5年の時だったと思う。
親に連れられて東銀座の映画館へ行った帰り、ビルの谷間の向こう側にとても日本とは思えない光景が目に入り、すごい衝撃を受けたことを覚えている。幻覚じゃないかと思ったくらいだ。
もうこの世にいない両親に対するいい思い出でもある。

X-JAPANのHIDEの葬儀が、築地本願寺で行なわれた。
毎日通勤で見慣れた風景はオウム・サリン事件以来の騒然とした雰囲気、というかアリーナ級のコンサートがそこで行なわれるかのような人と警戒体制だった。
ロックが好きで髪を赤く染めているような若者が、良く言われるようなことってないよね。特に、すぐにブチ切れて人を殺すような世代と言われている昨今じゃ。
でも、今日本願寺のまわりに集まっている彼らは、一様に彼らなりの喪服である黒い衣装を身につけ、彼岸用の花束よりも遙かに豪華な花束を抱えて、献花の列に加わっていた。とんでもなく長く伸びたその列に加わることもできず、ただただ本願寺の周辺に座り込むヤツらもいた。
好きだった人間の死に対し、なにかをしようとしている彼ら。
「マスコミのオカズになるようなことはしない!」と署名を集める女の子たち。
ロック・ミュージシャンの影響力と、斜に構えて生きている分、世間から冷たい目を向けられてきた彼らの、コンサート以外の方法をとった一大イベント。ちょっとカッコつけた表現かな。
でも、ロックってそういうものじゃなかったっけ? 肉体管理と機械仕掛けとレコードセールスだけがロックじゃないよな。
(マスコミに煽られて来ていたようなヤツもいたけどね)


本願寺 本願寺前で座り込む人々
献花の列に加わろうとする人々 遙か彼方まで伸びる列
築地駅の伝言板


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