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バンドネオンの夜 1999-05-01

今シーズンのテレビドラマは、サイコサスペンスが下火になって、復讐ものに注目が集まっているみたいだね。時代は、復讐だぁ!
ということで、病院を舞台に自殺した姉の復讐をしていく「ラビリンス」(NTV)をチェックしています。
この番組の蝶をモチーフにしたタイトル・デザイン・ワークが、デザイナーご用達雑誌「design plex」に紹介されていて、番組スタート前から気になっていた番組でもありました。
松田優作がちょっと入っている渡辺篤郎の芝居も見所ですが、なにより印象に残るのは、ドラマの雰囲気を盛り上げている音楽です。日本最年少のバンドネオン奏者・小松亮太が奏でるピアゾラのタンゴ。

ピアゾラのタンゴは、97年に公開された映画「ブエノスアイレス」で強烈な印象を残してくれたのがきっかけとなって、何枚かCDを持っているお気に入りです。
踊るためのタンゴじゃなく、孤独に向かう情熱と皮膚を通して心をなでられているかのような旋律に、たまらなく心惹かれるんです。
メインの旋律を奏でるのは、バンドネオンというアコーディオンに似た楽器。音の表情がものすごく豊かで、だからこそ妙に感情を刺激されるのでしょう。
小松亮太は、数少ない上に日本最年少(1973年生まれ)のバンドネオン奏者。かつてのピアゾラ・キンテートと一緒に演奏をするなど、その才能は注目を集めています。「ラビリンス」のサントラがリリースされたら、一般人にもブレイクするでしょうね。
ちなみにバンドネオンという楽器は、今ではもう製造されてなくてアンティーク・ショップに出ているものを修理しながら使っているそうです。

で、ゴールデンウィークなにしようかな〜と考えていた時に、ゆいが「ぴあ」でサントリー・ホールの新星日響定期演奏会で小松亮太がピアゾラをやるのを見つけました。こりゃいいっ!さらに安い!(^^)

演目は、アストル・ピアゾラ「バンドネオン協奏曲」。
小松亮太の演奏は、CDで聴き馴染んでいるバンドネオンの音よりも、痛いほどにエッヂの効いた音と感情の激しさがあって、場の空気を支配してました。呆然としてしまうほど良かった。
演奏が終わって、皆我に返ったかのような間があってから、小柄な青年を称えて拍手がいつまでもいつまでも続きました。

休憩の後はバーンスタインの「ウェスト・サイド・ストーリー」コンサート組曲第1番/シンフォニック・ダンス。
ミュージカル映画好きな僕ですから、聴き馴染んだ曲を生で聴けるのが嬉しかったな。しかもフル・オーケストラですからね!舞台で見たとしてもここまで豪華なオーケストラじゃないだろうし、映画の音をいくらデジタルで調整しても、ここまでダイナミック・レンジの広い音は聴けないだろうから。

ということで、ミーハーだと言われてしまいそうですが、すごくいい気分になれた演奏会でした。


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